人を動かすファシリテーション〜相手の提案がイマイチな場合〜

サワダ木材の営業課長である堂上は、かねてより、自社が仕入先にどのように思われているのかを気にしていました。

というのも、サワダ木材の営業担当者たちは、仕入先にあれやこれやと要求するくせに、そのフォローや、相手へのお礼が不十分だと、堂上は感じていたのです。

このままでは、いずれ仕入先に愛想をつかされてしまうかもしれない。そうなればサワダ木材の業績にも影響します。

 

そこで堂上は、仕入先数十社にヒアリングを実施することにしました。仕入先の生の声を聞き、営業担当者の行動の改善につなげたかったのです。

 

これはとても重要なことだと思われました。しかし、数十社分のヒアリングを記録し、レポートにまとめるのは大変です。そこで、堂上は営業支援室のメンバーに、レポート作成を手伝ってもらいたいと考え、営業支援室の室長にお願いをしました。

 

しかし室長はこう言いました。

「何を言ってるんだっ。そんなのうちのメンバーにできるわけないだろう。レポートを書くというのはそれなりのスキルが必要なんだ。簡単に考えられては困る!」

 

いきなり真っ向から意見を否定された堂上。

(何だよ、会社を良くするためにやってるのに。ちょっとは協力してくれてもいいじゃないか…)

彼が落ち込んだのは言うまでもありません。

 

 

☆mimuraの提案☆

 

営業支援室の担当者にとって、レポート作成は難易度が高かったのかもしれません。しかし、頭ごなしに相手の意見を否定するのはどうでしょうか。

営業担当者たちの行動が改善されることは営業支援室の室長にとっても価値があるはずです。それなのに、相手のやる気を奪うのは得策ではありません。

相手のやる気を活かして、実現可能なアイデアを生み出せるように働きかけてはどうでしょうか?

 

室長「ヒアリングか、それは良いアイデアだな。私も仕入先の生の声を知りたいので、ぜひレポートを見せてくれないか」

 

堂上「はい!ぜひともお見せします」

 

室長「ところで、そのレポートにはどのくらいの完成度が求められるのかな?場合によっては、うちのメンバーでは難しいのではないかと思うのだが…」

 

堂上「そうですね、このような内容のレポートにしたいと考えています」

 

室長「これは少し厳しいかもしれないな。もっと簡単にできるだろうか?」

 

堂上「そうですね、例えば質問内容をこれとこれに絞るとどうでしょうか?」

 

室長「良いね、これなら彼らでもできそうだよ」

 

 

〜使用した原則〜

✔︎まずほめる

✔︎相手の意見に敬意を表する。決して真っ向から否定しない。

✔︎命令せず、問いかける