人を動かす依頼〜よく席を外す事務員〜
ドリーム証券に勤める高橋さんは、資料作成をお願いしようと、事務員の関口さんのデスクに目をやりました。ところが彼女は席にいません。
「またか…」
高橋さんのアシスタントである関口さんは、他の事務員と比較して、席を外すことが多いです。それは仕事をサボっているからだと、かねてから高橋さんは感じていました。
数分後、席に戻った関口さんに、少しイライラしながら高橋さんは資料作成を依頼しました。
「関口さん、この数値をエクセルのここに入力してください。その後、となりの列に入力された計算式をコピーして貼り付けてくださいね」
関口さんはうつむきがちに
「わかりました」
とだけ答えて、作業に取りかかりました。
☆mimuraの提案☆
高橋さんがイライラする気持ちはわかりますが、なぜ関口さんは頻繁に席を外すのでしょうか。関口さんに、熱心に仕事に取り組んでもらいたいなら、その原因を考える必要がありそうです。
実は、関口さんは、やる気がないわけではないのですが、仕事にやりがいを感じていないのでした。何のためかもわからない作業を黙々とこなすのを辛いと感じ、息抜きのために席を外していたのです。
関口さんのやる気を高めるために、仕事の意義を伝えるのはいかがでしょうか。
高橋さん「関口さん、営業担当の成績を分析する資料の作成をお願いできますか。ここに各営業担当の顧客訪問回数と契約件数があります。これをもとに、一件契約を取るのに必要な訪問回数を算出します。回数が少ないのと多いのとではどちらがいいかわかりますか?」
関口さん「小さい方ですか?」
高橋さん「そうです。少ない訪問回数でたくさん開拓している人は生産性が高いですからね。彼らの営業ノウハウを取材して、他のメンバーに共有しようと考えているのですよ。そして全体の営業力の底上げにつなげたいのです」
関口さん「それは大切な取り組みですね」
高橋さん「そうなのです。ぜひよろしくお願いします。資料作成方法は、この数値を…
〜使用した原則〜
重要感を与える