人を動かすビジネスメール〜部下のヒアリングが甘かったとき〜

人事部に所属する有村さんは、社員に異動先のヒアリングをするのが担当業務です。

ある日のこと、社員Aへのヒアリングを本日中にするよう上司から命じられました。

有村さんはすぐに予定を調整し、社員Aにヒアリングを実施。その内容をレポートにまとめました。

2時間ほど残業して対応したため、すでに上司は退社しており、レポートはメールで提出しました。

 

翌朝、有村さんがメールを開くと、上司から返信メールが届いていました。そこには「君のレポートは中途半端だ。こんな内容で会社に判断を求められても困る。追加のヒアリングを本日に行うように」というメッセージが。

 

これを読んだ有村さんが、暗い気持ちになったのは言うまでもありません。

 

☆mimuraの提案☆

たしかに、有村さんのレポートは内容不十分でした。

社員Aが異動したいのか、異動したくないのか、意思をはっきり決めきれなかったのを、そのまま報告したのです。

これは、異動を決定する会社側からすると、あまり役に立つ情報ではなく、不満を言いたくなるのも当然です。

 

では、どうすれば有村さんに気持ちよく行動してもらうことができたでしょうか。

デールカーネギーは、「人を動かす」で次のように述べています。まず褒める、そして遠回しに注意する。

 

 

次のようなメール文章にすると、有村さんも前向きになれたのでは無いでしょうか。

 

ヒアリングのレポートを確認しました。迅速に対応してくれてありがとう。内容について理解できなかったところがあるので教えてください。Aは異動したいのか、残りたいのかどちらなのでしょうか」

 

レポートの内容が不十分だとダイレクトに指摘はせず、ちゃんと書いてくれているが、自分の理解が追いついていないというニュアンスを出しています。

 

さらに効果を高めたい場合は、相手への投げかけや励ましの言葉も有効とされています。

 

「会社にとっても本人にとっても悔いのない異動を実現するためには、本人の意向をもう少しはっきりさせておく方が良いと思いますが、どうでしょうか?

本人が迷って決めきれないのかもしれませんが、君ならうまく導いてくれると信じています」

 

 

このような回答は回りくどい、面倒だと思うかもしれません。それでも、最初のメールよりは、有村さんも気持ちよく動き、上司にネガティブな感情を持つこともないでしょう。