人を動かすアナウンス〜試験会場の移動〜
ある日のTOEIC試験でのこと。試験会場である大学の教室では、大勢の受講生が、数分後に迫った試験の開始を待っていました。
試験開始の3分前になって、突如、試験の責任者が教室に入ってきました。
「今日は空調設備が利用できないため、途中、教室が蒸し暑くなるかもしれません。新しい教室を用意したので、移動したい人はいますか?」
たしかに、教室には多くの受講生が居ましたが、そこまで暑くはありませんでした。何より、試験直前で集中していたので、教室を移動することは面倒だと感じたのでしょう。手を挙げた受講生は2人だけでした。
責任者は次にこう言いました。
「この教室の受験人数を減らしたいので、この列とこの列の方は別の教室に移動をお願いします」。
責任者にそう言われたら、仕方ありません。受講生はしぶしぶと移動しました。
☆mimuraの提案☆
人を動かす原則、「強い欲求を起こさせる」ことや、「重要感を与える」を実践してみましょう。
責任者は部屋が暑くなるかもしれない点は伝えられていましたが、それが不快感につながるということまで伝え、重要感を強めてはどうでしょうか。
そして、受講生が絶対に避けたい「スコアが下がる可能性」を伝えてみてはどうでしょうか。
「試験直前に申し訳ありませんが、皆さまにとって重要なお知らせがあります。
本日、この教室は空調設備が利用できません。
これだけ多くの受験生の皆さまがいらっしゃると、試験中に熱気がこもり、不快に感じることがあるかもしれません。それによって皆さんのスコアに悪い影響を及ぼすことは避けたいと思います。
新たに隣の教室を受験会場として用意いたしました。一部の受講生の方にそちらへ移動いただけたなら、室温を気にせず、快適に受験することができます。ぜひ、この列とこの列の方はご移動願えませんでしょうか」