人を動かす接客〜クリーニング店〜

ある秋のことです。衣替えをした山形さんは、夏用のスーツをクリーニングに出しに行きました。

お店に入り、カウンター台にスーツを載せ、店員にクリーニングを依頼しました。

 

山形さん「 このスーツを汗抜き加工でお願いします」

    店員はスーツの上着を広げ、洗濯表示を探しながら

店員「会員カードをお願いします」

 

山形さん「あ、すみません」

    焦ってカードを出す山形さん。

   引き続き、作業を続ける店員。

 

山形さん(何だよ、顔も見ずに失礼だなぁ)

 

    店員、洗濯表示を見つけるも、顔は洗濯表示に向けたまま

    

店員「汗抜きできる生地かどうかは、工場判断になります。もしできなかった場合は、後からその分の料金をお返しすることになりますが、それで宜しいですか?」

 

山形さん(え、何だよ、できないかもしれないのかよ…それなのに悪びれた様子がないなんて)

「はい…わかりました。それでお願いします…」

 

 

汗抜き加工ができないかもしれない事は、店員のせいではありません。しかし、ちょっと言い方を変えるだけで、山形さんの心証も変わったことでしょう。

 

☆Mimuraの提案☆

 

人には承認欲求があります。まずは依頼内容を受け止めてはどうでしょうか。

 

山形さん「スーツは汗抜き加工でお願いします」

店員「汗抜き加工ですね。承知しました」

 

 

汗抜き加工ができないとしても、店員に非はありません。しかし、一度相手の立場に立ってみましょう。わざわざスーツを持ってきて、汗抜き加工ができないと言われたら、ショックを受ける人もいます。

そんな相手の気持ちに共感し、申し訳ないという一言をかけてみてはどうでしょうか。

 

店員「お客様、大変申し訳ないのですが、実は汗抜き加工をできるかどうかについては、お店では判断できず、工場での判断となります。いったん工場に出してみて、できなかった場合には返金ということになりますが、宜しいでしょうか?」

 

山形さん「ふ〜ん、そうなんですか。わかりました。それで良いですよ」

 

 

山形さんはカードを出し忘れていたわけですが、そのことを非難するような言い方をされると、気持ちよくはありません。

ここは、出し忘れとは決めつけず、もしかしたら何か出せない原因があるのではないか、と視野を広げて捉えましょう。

 

店員「ありがとうございます。それでは受付させていただきますね。お客様、本日は会員カードはお持ちでしょうか?」

 

山形さん「あ、すみません。出し忘れてました。ここにあります」